パース『連続性の哲学』復刊投票のお願い
豊後大学の亀井雲右衛門でございます。
以前もここで,マルセル・モース『社会学と人類学』についてアナウンスさせていただきました。おかげさまで現在75票を獲得し,ブープル経由でこの本のI巻のみ,入手することができるようになりました。単価が7000円を超えるというのはいかがなものかとは思いますが……。ともあれ,皆さまのご協力の賜物です。ありがとうございました。
ところで最近,アメリカの哲学者チャールズ・サンダース・パースの『連続性の哲学』(岩波文庫)が品切とのことを知りました。これは由々しき事態でございます。本書は伊藤邦武先生の編訳として2001年に刊行されておりますが,おいおい5年でもうかよ,と言わざるを得ません。
本書の内容の優れたことといったら,そらもうえらいことでございます。人間の推論,科学の方法論から,果ては宇宙論まで,すべてを「連続的」に捉える壮大なパースペクティヴは,現代にも通用するきわめて先鋭なものであると同時に,実際のところラカンやドゥルーズにも相当の影響を与えていると言われております。特に本来認知科学の方面などにはパース哲学についての深い理解が俟たれておると言えます。
にもかかわらずこの体たらく。天下の岩波が市場原理ごときに搦め捕られて一体なんとしましょうか。アマゾンのマーケットプレイスでは3000円近い値がついているこの本書を,定価の700円で売ることこそが,わが国を代表する学術出版社・岩波にとって天与の使命なのではないでしょうか。
そこでわれわれ労働者は立ち上がり,復刊リクエストを再び敢行することと致しました。
皆様方のご協力を,よろしくお願いいたします。
ディスカッション
コメント一覧
宇宙全体が、比喩的に言うとたった一枚の布で出来ている連続したもの、というのが、アインシュタインの相対性理論の世界観。
いや、世界は、色々の存在物に「量子化」されていて、不連続な世界だ、というのが、量子論。
この二つの相容れない世界観を、唯一絶対普遍の存在の創造主である神の実在を、自然科学で言う自然法則とエネルギーの持つ性質を手ががりにして証明して、創造主である神、自然法則(実は創造主である神の天地創造の原理)、エネルギー(実は創造主である神の心身)の三つの基本概念で説明する、この世界の成り立ちと仕組みを明らかにすることで、少しも無理をしないで一つに統一することが出来ます。
いわゆう神の存在証明がもたらす意味について
http://blog.goo.ne.jp/i-will-get-you/
パースの理論と一緒にご検討ください。
一般法則論者
実はパースのことは全然知らないのですが、なんとなくドゥルーズに関係してそうだな、と直感で投票してみました。ドゥルーズ研究をしている人が近くにいるので…。
モースの「社会学と人類学」、廃刊だったんですね!そして復刊でそんな値段がついてるんですね!知りませんでした。びっくりです。私はそれ、2、3年前、pufの赤いシリーズ(quadrige)で中古11ユーロくらいで買いました。パリの本屋にはまだまだ平積みしてありましたけどねえ。
一般法則論者さま
コメントありがとうございます。相対論と量子論の統一,私もできますよ。
ところで生協の白石さんって,いい人ですよね。
shibaさま
ごぶさたしております。ドゥルーズには関係ありますよ。とはいえドゥルーズのテクストは私もちゃんと読んだのは2篇にすぎないので詳しいことは言えませんが。
パースはカントの『純粋理性批判』を覚えるほど読み込んでいて,そこから独自の抜け出し方をやってのけている人ですが,その意味でヘーゲル的な弁証法に独自に到達したとも言えそうだし,論理学的にはフレーゲに近いことを同時発見しているフシがあります。量化とか概念記法とかの点で。それらが本当にパラレルなものなのかどうかは私自身は未確認なのですが。
特に第一性,第二性,第三性なんか,ラカンのあれですよ。現実界,象徴界,想像界とかぶりますよね。ドゥルーズでは芸術,科学,哲学かな。この順番で合ってるのかどうか,あるいはときどき入れ替わったりするのか(この三肢性に対称性があるのか),ちょっと詳しく読み込まないといけません。まだ直観の段階です。