夢を見続けるアメリカ――「もう4年寝かせて」

大統領選挙が終わった。結果は言うまでもなく,ブッシュの再選である。まずはトホホと言っておこう。

以前,『グローバル化と~』所収の論文で,アメリカは自分に都合のよい(パラノイアックな)夢を見続けていると私は論じた。今回は少し状況が違ったので――つまり,イラクに大量破壊兵器はなかったと判明していたし,フセインがアルカイダとつながっていた証拠も出ていないし,とにかくこの「テロ戦争」に大義がなかったことが現在明らかになっているという意味で――,そろそろ夢から醒めるころかなと思っていたが,やはりアメリカくんはケリーという名の目覚まし時計を止めてしまったのだった。

うすうす起きてるんだろうけど,「うぅー,もう4年寝かせて……」とかいうわけであろう。いいかげんに起きろよ(怒)。

ちなみに選挙前の記事だが,メリーランド大学の調査で「ブッシュ支持者の7割が,イラクに大量破壊兵器があったとまだ信じている」うんぬんといったのがあった。そういうのを「夢を見る」と言わずして何と言おうか。精神分析はそういうことを,「現実検討(現実吟味)」の能力がない,と言う。それがないというのはどういう感じかというと,幼児的,または妄想的であるということだ。どっちにしても国家としてカッコよくはない(と思うけど)。それを「強い」とかいうのは当然ハズレである。

ケリーになったってよくなるとは限らないが,規定方針の見直しの機会をもつには(ネオコンを追い出すとかね)ブッシュ以外である必要があったろう。今回は良識派に期待したんだがなぁ。やっぱり「ケリー支持というよりブッシュ不支持」的な空気だけでは勝てないのか。マイケル・ムーアもアジ文書きにくかっただろうし……。でも彼,文才あるよね。

どうせ日本はアメリカの属国なんだから,51番目の州として大統領の選挙権くれてもいいのにね(プェルト・リコの人ごめんなさい)。ちなみに私は次の大統領はエミネムしかないと思っているゼ。モッシュか死かである。

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閑話休題。イラク戦争開戦前に,私は授業で次のような簡単なクイズを宿題に出した。

ブッシュ「イラクには,大量破壊兵器が存在する」
フセイン「イラクには,大量破壊兵器は存在しない」

さて,挙証責任があるのはどちらでしょうか?
(注・川口外相(当時)はフセインと答えています)

論理学で考えるんですよ。これも教養のうち,これくらい知らないと政府に騙されるよ! というわけで答えは……また来週!