ローソンをめぐるクロネコヤマトと郵政公社

2018年6月1日

この件について皆さんいろんな感想をお持ちでしょうが,クロネコ(民)とゆうパック(元・官)との闘いという視点からは,やはりクロネコにがんばってもらいたいものです。

ヤマト運輸の創業者は許認可で官僚にさんざん足を引っ張られながらも,民間企業として全国津々浦々まで荷物を届けるサービスを展開してきました。他方郵便事業は言うまでもなく税金に支えられていますので,価格競争では有利で当然です。クロネコにしてみれば,自分が官僚たちの妨害にも負けずにやっと築いてきたものを,その官僚たちがまたぞろかっさらっていくわけですよ。ローソンとの提携を切るなんて,経営戦略的には明らかに厳しい選択であるわけですが,きっと悲憤慷慨,頭から湯気が出ていることでしょう(参考)。ローソン側も「おらおら,ゆうパックも扱わんかい」という上からの圧力の前に,クロネコごとき一民間企業に操を立てることもできなかったんでしょうね。

もしも,小泉首相の言うように「民間にできることは民間に」というつもりで郵便事業を民営化するのなら,こういう「民業圧迫」はもちろん間違ってます。「規制緩和」なら何でもいいと思っている人が多いかもしれませんが,とんだ大間違いで。だいたい郵便事業なんて,すべての荷物について採算とれるわけじゃないんだから,民営化には向かないんですよ。官僚側からすれば,「民営化」というスローガンが実はカモフラージュかもしれない(田中宇ふう?)。単なる思いつきでないとすればね。でも最近の政治家は思いつきだけでいろんなものを壊していくからタチが悪いとも言う。

ちなみに海外生活ではクロネコはとても頼りになります。フランスの郵便システムはとても「郵便的」((c)東浩樹)だから。EMSですら信じられんもんなー。がんばれクロネコ! 株安なんかに負けるな!!

時事

Posted by 中野昌宏