ラカン派精神分析学・日本語文献案内
ここに掲げる文献リストは網羅的なものではなく,単に筆者の知っている文献,気がついた文献にコメントをつけているにすぎません(主として単行本に限定しています)。網羅的なものを参照されたい場合は,日本ラカン協会の「ラカン研究邦語文献目録」をチェックしてください。また筆者の知らない,気づいていない(と思われる)文献をご存じの方は,メール等で筆者までお知らせいただけると幸甚です。このページをより充実した公的情報源とするため,ぜひご協力ください。ちなみに以下,[ ]内は原著刊行年です。
※新着未整理の文献がたまってきました。新しいものを早く紹介することに意義があるとはいえ,多忙につきコメントをつけるのが苦しくなってきましたので,とりあえず文献名だけのリストをつけることにしました。こちらです。
(公開: 1996年頃~ 最終更新日: 2009年1月5日【更新終了】)
とりあえず入門編 (ページ先頭へ戻る)
●入門書
「何にも知らないし,本格的に勉強する気もないけど,だいたいのところだけ知りたい」という人のためには,まず堅苦しくない
講談社 (1992/04)
売り上げランキング: 931,433
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かなりわかりやすく、精神分析やその辺りの入門書としては最適
フロイト入門
日本放送出版協会 (1999/10)
売り上げランキング: 29,077
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わかりやすいユング、フロイト入門
日本放送出版協会 (2000/02)
売り上げランキング: 101,216
在庫切れ
フロイトの理解へ
リーディングメディケーション
あたりをおすすめしたいと思います。著者の鈴木先生は精神分析家でも精神医学者でもなく,文芸批評家というべきでしょうか。ともかくその方が,厳密さはともかく視野の広さがあります。これでフロイトからラカン(やその同時代人たち)の思想を何となくつかむことが先決です。同じ著者に,
河出書房新社 (1998/03)
売り上げランキング: 184,312
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分かりやすいフロイト入門書
というのもあります。ボーっと写真を眺めるだけでも楽しいです。また似た系統のもの(図版中心のもの)として,
創元社 (1992/11)
売り上げランキング: 298,681
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フロイトの人間臭さを感じ取れる一冊。
もあります。
筑摩書房 (2000/07)
売り上げランキング: 162,310
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最新情報が盛り込まれています。
これは新書本で値段も手頃ですし,いろんな図解もあって,入門者にはおすすめです。
講談社 (2002/03)
売り上げランキング: 133,159
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the Covetous?
同じ著者のこちらのほうは,フロイトといろんな弟子との葛藤や周辺の事情などが出てくるので,精神分析を取り巻く全体的な文脈を知ることができて面白いでしょう。
さて,難しい難しいと言われているラカンですが,まず個人的に特におすすめなのは,「現代思想の冒険者たち」シリーズの
講談社 (1998/02)
売り上げランキング: 70,163
在庫切れ
厳密さを失うことはなかった物語
難解なラカンの思想の理解に
です。トータルな入門書として最もよい読み物の一つでしょう。ラカン派にまつわるエピソードとか背景から理論内容まで,よくわかります。読書案内もついていますし,まさに手取り足取りといった感じです。
新書本ゆえに気軽に読めるのは,何といっても
講談社 (1995/11)
売り上げランキング: 7,091
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「ソシュールの思想」読まないと。
面白いラカンの本
私は現役大学生(2校目)・・・でもやや難・・・
でしょう。阪大の鷲田清一先生激賞(『人環フォーラム』の書評で)。京大の篠原資明先生も激賞(ご本人談「こんなにわかりやすくていいのか!」)。サントリー学芸賞受賞。新宮一成氏は私の所属する京大・大学院人間・環境学研究科の先生で,私もよくお世話になっています。
講談社 (2005/05/11)
売り上げランキング: 7,552
新宮派?
そうです,これも「新宮派」(何となく人聞き悪い?)によるおすすめ入門書です。私も12ページだけ書いてます。フロイト,ラカンの単なる解説だけでなく,フロイトとラカンを串刺しにして理解すべきことを説き,しかもそれが文化,歴史,経済(これ私),芸術などとどうリンクするのかという切り口からいろんな(おおむね若い)人が書いていて,これまでにないタイプの,ぜひ多くの人に読んでもらいたい本に仕上がっています。
あと,知らないうちに以下の本が訳されていました。
夏目書房
売り上げランキング: 272602
これも,タイトルには「ラカン」という文字は入っていないものの,著者がパリ8出身ということで,ラカン派のわかりやすい解説です。ただこの印刷では「◊」の演算子がうまく出ていないようですが……。
現代思想系?のものでは,
講談社 (1991/11)
在庫切れ
門外漢にも分かりやすい良書
勉強には役立つが現実には役立つまい。
なんかも,よいと思います。ヤコブソンの言語論との関係など,結構他の本にない情報も含んでいます。
あと,これは後ろのほうの「構造主義」の項で紹介しようかとも思ったのですが,こういうところから入ってもいいなぁと思われる本が,次です。
文芸春秋 (2002/06)
売り上げランキング: 3,399
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本当は読み終わった後に学びが始まる
ちょっとこむずかしいところもあるけど、楽しめる
浅田さんによると、マルクス『資本論』は寝ながら読むように出来ている、らしい。
神戸女学院大の内田先生はとても面白いホームページで有名です(後記:それどころか今やとてつもない売れっ子になりましたね)。この本の第6章がラカンに充てられています。市民大学講座のノートをもとに,「熊さん」と「ご隠居」の会話のような平易な文体で語られていて,予備知識のない人にはおすすめです。たしかに私の経験からも,普通の学生に説明するときはこれくらいかみ砕かないといけませんね。でも「大人になれよ」っていうのはあんまりだと思いますけど(←わからない人はこの本の帯を参照)。
筑摩書房 (2005/01)
売り上げランキング: 1,978
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ちょっと冗長。読むのがしんどい。
生徒や先生はもちろん、親御さんにぜひ読んでいただきたい
恋愛と教育は誤解の上に成り立つ
こちらは,引用はほぼラカンのもので,おそらく一般コミュニケーション論といってよいもの。それを中高生向けに噛み砕いたものです。別著『他者と死者――ラカンによるレヴィナス』(こちらはラカンは出てきますが,基本的にはレヴィナス論でしょう)のラカン的エッセンスが集約されています。ほんっとに易しいところから入りたい人におすすめします。
●一次文献の邦訳
まあ何かを勉強しようっていうときには,一次文献(つまりフロイトやラカンの書いたものそのもの)を読まねばならないのは当然ですよね。
フロイトの書き物は
- フロイト著作集,人文書院.
- フロイト選集,日本教文社.
というシリーズで出ています。ただしいずれも「全集」でないところがつらいし,訳が古いとか(ピーー)とか,いろいろ問題もありますが,文句言いながら読みましょう。とか言っていたら,やっと全集が岩波から出始めました。
刊行状況についてはこのあたりを見守っていてください。全22巻の刊行が待たれます。新訳のない分については上の著作集あたりで当面しのぎましょう。そりゃドイツ語読める人には必要ないことですが。あるいは英語の標準版(Standard Edition)を参照されてもよいのですが。
あるいは文庫版で
筑摩書房 (1996/06)
売り上げランキング: 60,899
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意見。
筑摩書房 (1997/05)
売り上げランキング: 87,706
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エロスの分野における必読の書
編訳者の方 グッジョブ *^-^b
という新訳も出ています。これは論文集ですが,読みやすいのあり,読みにくいのあり,ですね。まあ持っていて損はないでしょう(ちなみに訳者の中山元さんはフーコーなどの研究者で,インターネット上でも哲学オンライン・マガジン『ポリロゴス』などで活躍されています)。また,
平凡社 (1995/02)
売り上げランキング: 342,565
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は,フロイトがまだ深層心理学・精神分析学に取り組む以前に,神経生理学者として書いた論文で,本邦初訳という代物です。
ラカンの著作では,
が有名ですね。「エクリ Écrits」とは「書かれたもの」という過去分詞ですから,まああえて日本語で言えば「書き物」というような感じでしょう。でもこれをいきなり読むのは無理があるかもしれません。このところもう少しわかりやすいラカンのセミネール(講義録)がまとめられ,出版され,そして邦訳されてきていますが,
- 1991(セミネール第1巻)『フロイトの技法論』(上・下),岩波書店.
- 1998(セミネール第2巻)『フロイト理論と精神分析技法における自我』(上・下),岩波書店.
- 1987(セミネール第3巻)『精神病』(上・下),岩波書店.
- 2006(セミネール第4巻)『対象関係』(上・下),岩波書店.
- 2005-6(セミネール第5巻)『無意識の形成物』(上・下),岩波書店.
- 2002(セミネール第7巻)『精神分析の倫理』(上・下),岩波書店.
- 2000(セミネール第11巻)『精神分析の四基本概念』,岩波書店.
しかまだ出ていません。まあそのうち出てくるでしょう。ほかに細かいのがいくつかありますが,おそらく
青土社 (1992/07)
売り上げランキング: 250,808
在庫切れ
買っただけで自分が優越感を感じる気持ちになる「ブランド」と同じ。
ラカンはテレビでも難解なことを話した
以外は,次の「基本文献」を参照すればカバーできるはずだと思います。
●基本文献
まずフロイトの伝記ですが,最近,歴史学系の著者による
みすず書房 (1997/09)
売り上げランキング: 21,003
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みすず書房 (2004/08/27)
売り上げランキング: 24,756
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が出ました。かつては
紀伊國屋書店 (1969/12)
在庫切れ
が定番の伝記でした。この著者はフロイトの直弟子ですが,他の弟子や生前のフロイトを知る人などから不正確だという証拠がいろいろ出てきて,100%は信頼できないものとされていました。P・ゲイのほうはしっかりした歴史家で,こちらの方はかなり信頼できるものじゃないかな?と思います。
それと,ちょっと異色(社会思想史系)なのですが,ユングとの関係を含めた背景的なこと(ウィーン世紀末の事情など)が
岩波書店 (1989/08)
売り上げランキング: 394,551
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および,同じ著者の
岩波書店 (2001/10)
売り上げランキング: 225,245
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の一部で取り上げられています。読んだのがあまりに昔なのでここに挙げ忘れてました。
正直言ってフロイトについて挙げればきりがありませんので,私が思いついたかぎりでということで。
さてラカンですが,ちょっとまじめに勉強してみようかな,という向きには,持っておいたほうがよい本というものがあります。たとえば,
- マリーニ,M. 1989[1986] 『ラカン――思想・生涯・作品』,新曜社.
などです。これで先にも言ったラカンのエクリやセミネール以外のものも(翻訳も)押さえられるでしょう。一次文献案内みたいな本で,膨大な文献を網羅しています。ただし内容の説明そのものはちょっとずつだけなので,あくまでインデックスとして利用すべきでしょう。
伝記としては,ルーディネスコさんの大著の翻訳が出ましたので,まあこれが決定版でしょう。
河出書房新社 (2001/07)
売り上げランキング: 324,235
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二十世紀精神分析
ただし「正統派」は認めたくないみたいですが(この中ではラカンの後継者・娘婿(元?)・遺稿管財人であるジャック=アラン・ミレール氏がさんざん批判されているから)。でもまあ立場はどうあれ情報源として読んでおくにしくはないというべきところです。後に挙げるカトリーヌ・クレマンさんのものもできれば参照ください。
また,定番となっている辞書として
みすず書房 (1977/01)
売り上げランキング: 190,597
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精神分析の理解のために
というのが一応権威あるものです。でも,書かれたのも訳も古いし,内容に問題もあるし,辞典(事典?)として完璧とは言えません。最近は,もっとコンパクトな
弘文堂 (2002/03)
売り上げランキング: 99,425
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ラカン派精神分析事典
が,やたらと評判がいい(売れている)ようで,新版も出て定番になりつつあります。新宮先生も訳者に入ってます。
より研究者向けなのが,ついに出た L’apport freudien というのの翻訳
弘文堂 (1997/11)
売り上げランキング: 340,231
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です。本格的に勉強したい人は,これを一度は手にするべきでしょう。「引く」辞典というより「読む」事典です。しかしこれは応用編かも。それと,非常に高いです。いろいろ苦情も聞きますが,だからといってこれに替わるようなのもないんですよね。
ついでと言っては何ですが,他の辞書を2つほどあげておきます。
河出書房新社 (1992/05)
売り上げランキング: 1,307,811
在庫切れ
新曜社 (1995/04)
売り上げランキング: 276,877
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●理論系
ラカンの考え方をよく伝えているのが
青土社 (1994/02)
売り上げランキング: 1,365,883
在庫切れ
です。『エクリ』に収録されている論文の内容が中心ですが,ラカンの女性論を含む「アンコール」というセミネール(フェミニストがよく引き合いに出すもの。時期としては後期に属します)についても触れられています。また,まさに解説書,という感じなのが和ものである次の文献。
金剛出版 (1988/10)
売り上げランキング: 1,359,289
在庫切れ
セミネール7巻や11巻のレジュメ(要約)を読んでいるようです。ちなみに11巻というのは,そこまでのラカン理論の概括としての意味をもつ,重要な文献だと見なされています。タイトルの意味は,ラカンは決してずーっと同じ思想をもち続けたわけではなく,年を追うごとに過去の自分と対決し,それをのり越えていったのだ,みたいなことで,ラカンの正統な継承者ミレールがそんなふうな表現を使ったということがあって,……とにかくそこからきています。
理屈でサクッとわかりたい人には,藤田博史さんの本はどうでしょうか。
などは,私にはよかったですね。挿し絵(図なんですけどね)がなんとなく浅田彰『構造と力』を彷彿とさせるなぁ。同じ著者のものは,ほかに
青土社 (1993/02)
売り上げランキング: 973,575
在庫切れ
もあります。似た系統のもので,
誠信書房 (1992/04)
売り上げランキング: 425,301
在庫切れ
もよいでしょう。
も,ヘーゲルの「主人と奴隷の弁証法」,セミネール11巻についての解釈などを中心とした,なかなかよい本だと思います。もっと理屈っぽいハードなものはたくさんありますが,それらは応用編で。
あと,哲学系ですが
講談社 (2002/10)
売り上げランキング: 292,724
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はラカンの思想を年代別にまとめ,論理(学)を重視し,「欲望のグラフ」を解説している点で他にない長所があります。"désir"を「望むこと」と訳すこだわりがいいのか悪いのかわかりませんが,おすすめです。臨床系も大事なわけですが,哲学系には臨床系にない丹念なテキスト・クリティークがあるところがいいですよね。
さて,翻訳ものでラカン理論の入門書として評判のいいところでは,「パリ精神分析セミネール」主宰・ナシオさんの本。
新曜社 (1990/11)
売り上げランキング: 972,573
在庫切れ
三元社 (1995/02)
売り上げランキング: 992,524
在庫切れ
いかにもチャート式みたいなタイトルがいいでしょ。内容はチャート式ではないですよ。また
青土社 (1998/03)
売り上げランキング: 178,576
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も出てます。また,翻訳ものというのでは,ジョエル・ドールさんのものも有名です。
この人の本はしかし,全面的な信を置かず,慎重に読んだ方がいいです。ややこしい話になりますが,ラカンは「言語は無意識の条件である」と論じ,それとは逆に「無意識は言語の条件である」と論じたラプランシュ(ラカンの弟子で,上に挙げた辞典の編者です)を批判しているのです。この両者の考え方の違いは,実に微妙なものに見えるでしょう。しかしラカンに言わせれば,実は結構本質的な点なんですよね。このへんの事情は具体的には
に出てきます。5巻セットで分量も多く,入門編としてはきついですが,興味のある方はどうぞ(※このあたりの件について,やはり記しておいた方がよいのでは,とのご指摘を受けました。ありがとうございます)。
誠信書房 (2002/05)
売り上げランキング: 203,447
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向井さんが訳された本です。これは訳者あとがきにもあるように,入門と言うにはかなり難しいものですが,それでもこういうふうにラカンの理論展開を追っていく感じのものはほかにないので,あえてここに挙げてみます。一読の価値ありです。
●臨床系
臨床系でまず挙げておきたいのは,ラカンが最も信頼していたという女性臨床家,フランソワーズ・ドルトさんの本です。彼女は小児分析を得意としていました。
- ドルト,F. 1975[1971]
『少年ドミニクの場合』,小此木啓吾・中野久夫訳,平凡社. - ドルト,F. 1981-84[]
『子どもが登場するとき――分析医の心理相談』(全3巻),第1巻 村上光彦訳; 第2巻 高山晶訳; 第3巻 宮崎康子訳,みすず書房.
言叢社 (1994/06)
売り上げランキング: 126,936
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言叢社 (1994/06)
売り上げランキング: 242,485
通常4~6週間以内に発送
青土社 (1994/12)
売り上げランキング: 404,668
在庫切れ
みすず書房 (1996/12)
売り上げランキング: 313,003
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などが日本語で読めます。『子どもの無意識』はカナダのケベックでの討論会がベースになっていますが,会話体である分,このあたりがとっつきやすいでしょう。一方『無意識的身体像』が,ドルトの理論的な部分の中心でしょう(※かつてここに挙げていたもののうち,どう考えても入手できそうにないもの,重要性の薄そうなものを削除しました)。
なお,これ系のものではマノーニ夫妻などの著作も挙げたいところですが,筆者未見につきしばらくお待ちください。
あと,すでに上にも出てきたドールさんですが,臨床系に属するであろう
青土社 (1995/04)
売り上げランキング: 194,743
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処女と売春婦 -両立し難い二つの表象
の方は,悪くない本です。
また,向井さんが訳された
情況出版 (1999/05)
売り上げランキング: 809,153
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は,タイトルから見てもあからさまにラカンを紹介しまっせという本ではないわけですが,読んでみるとたしかにラカンの入門として「も」いいかも,という印象をもちました。というかしかし,どういう紹介がラカンの紹介としていいのかということ自体,最近の私にはよくわからなくなってます。
それから,さきほど挙げた新宮氏の著書ですが,ほかに
弘文堂 (1988/03)
売り上げランキング: 248,560
通常2~3日以内に発送
夢からの帰還について
金剛出版 (1989/10)
売り上げランキング: 676,513
通常4~6週間以内に発送
金剛出版 (1996/02)
売り上げランキング: 313,798
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ラカン・シンポ in 京都
岩波書店 (2000/01)
売り上げランキング: 92,620
通常4日間以内に発送
あり得べき誤解に抗して
ユング派の夢診断ばかりだ!とお怒りの皆さまにおすすめ。
フロイト理論の矛盾を継承
があります。3番目のものは編著ですが,国内のラカン派の主だった論者と,ミレールほかによる,文字どおり正統ラカン派(ラ・コーズ・フロイディエンヌ)の国際シンポジウム・臨床セミナー・講演会の内容です。
また,その正統派の流れの最たるもので,セミネール3巻に忠実な
や,同じ著者の
弘文堂 (1990/01)
売り上げランキング: 769,781
通常4日間以内に発送
弘文堂 (1993/04)
売り上げランキング: 769,784
在庫切れ
というのもあります。
●その他,思いつき
本当は,特にラカンに関心があっても,他の理論も知っておいた方がやっぱりいいに決まっています。他の理論というともう,クラインとかウィニコットとかコフートとか(ビオンとかは渋すぎる?)いろいろありますが,たとえばアメリカ系の一味違うものに,
新評論 (1996/04)
売り上げランキング: 194,771
通常2~3日以内に発送
全部理解しようとしないこと
というのがあります。これは現代アメリカの最先端の研究(カーンバーグ派)で,あの『甘えの構造』の土居健郎氏がそこをあえて教科書として推薦しています。いかにもアメリカらしい実際的でクリアカットな論述なのですが,論理の緻密なものではありません。したがって,精神分析の考え方のある「答え」のようなものを知りたい場合はよいでしょうが,なぜそうなるのか,なぜそう言えるのかという「ロジック」が知りたいときにはちょっとつらいかもしれません。その意味では,逆にある程度知っている人向きなのでは,と私は思ったりします。「あいだ」というのは木村敏氏の概念で,この思想にこの本の訳者と著者が共鳴し,訳書タイトルに採用したようです。
弘文堂 (1989/09)
売り上げランキング: 1,313,243
在庫切れ
が基本参考書です。副題が示すとおり,「あいだ」というのは現象学で言う間主観性の問題に根差していることになります。L・ビンスワンガーやM・ボスのような人たちはハイデガーの影響から精神分析ならぬ「現存在分析」を編み出していますが,その流れとの関係が深いと言えるかもしれません。
ところで,実はこの現存在分析に,あの三島由紀夫が共感をもっていたようです。三島は学習院中等科時代からフロイトを座右の書として,その論文をおおかた読んでしまっていたようです。
新潮社 (1970/02)
売り上げランキング: 109,254
通常2~3日以内に発送
音楽の意味
音楽とは
三島由紀夫的<精神分析>
この小説は,分析医が患者の治療経過を述懐するというかたちで書かれていますが,三島の知識がたいへんしっかりしたものであることに驚かされます(ビンスワンガーやボスの名前も出てきます。小説なのに)。ただ三島としてはそんなところに驚かれてもしょうがないんでしょうけれど。でもこの小説は,精神分析を知らないよりも,知っていて読んだ方がやはり面白いのではないでしょうか。たしか,『エクリ』訳の中心人物である佐々木孝次氏が,三島論をいくつか書いていたはずです。と思って調べてみますと,とりあえず
せりか書房 (1989/03)
売り上げランキング: 975,218
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Mishima avec Lacan
が見つかりました。他にもあったような気がするのですが,なかったかなー。
扶桑社 (2001/11)
売り上げランキング: 458,927
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こちらも小説です。原題は Mortel transfert すなわち『死の転移』で,もろに精神分析用語。すでにフランスその他で映画化されていて(ジャン=ジャック・ベネックス監督),これが『青い夢の女』という題で日本でも公開されます(だいたい2002年1月下旬あたり)。この邦題では,原題のもつ含意やインパクトがすっかりなくなってて残念ですけど……。主人公がラカン派の分析医で,実在の著名な分析家の名前とか専門用語とかがいくつか出てきて(「ボロメオの結び目」とか),知っている人にはマニアックな楽しみが。知らない人もこういうところから関心をもたれるのもよろしいかと。
どういう基準だか応用編 (ページ先頭へ戻る)
以下は,フロイトよりもラカンに偏った文献リストです。適当に列挙し,わがままにもコメントしたいところでコメントします。
●より深い研究に必要な文献
平凡社 (2002/12)
売り上げランキング: 67,610
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ラカン「精神病」フロイト「シュレーバー症例」の原典
筑摩書房 (1990/11)
在庫切れ
この2冊は同じ本の別訳です。パラノイア患者(と言ってしまってよいのかな?)の書いたもので,フロイトが論文の題材にするほど興味をもった文献です。著者の父・モーリッツ・シュレーバーは,日本でもおなじみの「ラジオ体操」の父でもあるそうな。この父の教育方針は,
草思社 (1994/09)
通常4~6週間以内に発送
に描かれていますが,まあ副題から推して知るべしですね。ついでですから,もう一つ挙げておきましょう。
法政大学出版局 (1971/01)
売り上げランキング: 234,567
通常2~3日以内に発送
忘却の中で生き残る本
法政大学出版局 (1971/01)
売り上げランキング: 249,881
通常2~3日以内に発送
フロイト理論を吸収した著者の35年にわたる研究成果です。(下)にシュレーバー症例が登場します。
●背景もの~古めの解説本
青土社 (1977/01)
売り上げランキング: 601,211
在庫切れ
「入門」と名がついていますが,この本はおそらく入門書として読むべきではありません(だって学位論文ですよこれ)。実は,これにはラカン自身による序文がついていて,その中でラカンは,前述したラプランシュや,S・ルクレールとともに著者に対しても批判的な態度をとっているのです(著者がかわいそう)。そうした背景をおさえた上で読むべしということです。もちろん序文は必読。この序文はのちにAutres Écrits(『他の書き物』って感じ?)に入れられています。
- ラング,H. 1983[1973] 『言語と無意識――ジャック・ラカンの精神分析,石田浩之訳,誠信書房.
みすず書房 (1994/12)
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この本の著者は,フランスの現象学者モーリス・メルロ=ポンティ(サルトルの友人でした)の評伝『両義性の哲学』で知られているベルギーの人です。当時のフランスの現象学や実存主義といった時代思潮との関わりのなかでラカン理論を読む,ということが,それなりの限界はあるにせよ,この本でできるでしょう。
青土社 (1992/09)
売り上げランキング: 1,365,869
在庫切れ
これは有名な本ですよ。伝記ですし読んで損はありません。その訳者
は,日本ではおそらく初の包括的な解説書でした。
フランスの事情にかぎっては,
誠信書房 (1998/01)
売り上げランキング: 949,981
通常4日間以内に発送
は勉強になります。たとえばラカンとシュルレアリストとの関係など。ラカンの「換喩」の議論なんかに関わってくる事情でしょう。なおここに「ポリツァー」と割と頻繁に出てくる人名は,ジョルジュ・ポリツェルのことだと思います。
毛色の違うものとして,ラカンに捨てられた娘の手記。
晶文社 (1998/11)
売り上げランキング: 601,551
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があります。暴露本的なものというか。スキャンダラス。しかしまあ,面白いと言えば面白い。面白くないと言えば面白くない。個人的なことですからねぇ。でもかわいそうなのはかわいそうです。
●構造主義関係
今までちゃんと書いていませんでしたが,これは知っておいたほうが。いや,ぜひ知っておくべきです。
講談社 (1995/04)
売り上げランキング: 36,884
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分かりやすいです。
とりあえず流れだけは分かりました。
「再入門」に好適
これを一番に挙げておきます。わかりやすくていい本ですよ。ソシュールに始まりますがフランス現代思想系に偏らず,アメリカ構造言語学やチョムスキーやモンタギューにも言及があって壮観です。新書でこの内容はすばらしい。で,全体としてラカンとの関係は薄いわけですが(出てはきますが),とりあえずこれでヤコブソンとかバンヴェニストあたりに着目しておいてください。
次の文献は,訳者も言うように「そのまま現代フランス思想史」であるような書。
国文社 (1999/10)
売り上げランキング: 599,689
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国文社 (1999/10)
売り上げランキング: 676,462
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とくにレヴィ=ストロースについては,その無意識の数学的とも言える「構造」観が,ラカンの「無意識は言語のように構造化されている」との文句に反映されているように思えます(上の本では,ラカンの考えはレヴィ=ストロースのパクリだとまで言う人が登場してます)。そこでみなさん先刻ご承知のとおり,構造主義の紹介書のうちとくに「構造」の数学的側面を強調したものが
講談社 (1988/05)
売り上げランキング: 4,443
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構造主義入門の 定番
これこそ構造主義の入門書だと思います。
現代思想入門書として最適。
でしたよね。ぜひお読みください。ここに出てくる「カリエラ型婚姻規則」の「クラインの4元群」による説明などについては
筑摩書房 (2000/10)
売り上げランキング: 10,867
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レヴィ=ストロースの読み方
新書ながら読みごたえのある本
現代のレヴィ=ストロース入門書
にももう少し詳しい(しかしコンパクトな)記述があって,これもおすすめです。もちろんレヴィ=ストロース自身の著書も,たいへん参考になります(ここでは紹介しません)。ちなみに
夏目書房 (1997/09)
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著者の勇気に感謝しています。
構造主義が分かる本
は,なぜか工学系の人が書いている希有な本です。とくに付録(「レヴィ=ストロースによるフロイト解釈」を含む)は,文系人間にはありがたいでしょう。
人文書院 (2001/05)
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精神分析の社会科学への応用
構造主義的マルクス主義者・アルチュセールは本来ラカンを大変高く評価していましたが,その後齟齬を来してゆきます。そのあたりの事情や理論的観点の相違などを研究するには必須の文献と言えます。なお,もともとアルチュセールの弟子だった例のミレールが「ラカンに一生ついていこう!」と決意した経緯なども出ていて楽しめます。
●哲学系
大事な本を長らく入れ忘れてました。誰か早く言ってくださいよ。
ラカンのセミネール(ゼミ)に熱心に出席していたポール・リクールの本です。刊行年が『エクリ』の前年であることに注意してください。それまで本を書こうとしなかったラカンにとって,この本の刊行は一つの事件でした。あたかも自分の考えがリクールによってまとめられてしまった――剽窃されてしまった――かのような印象を受けたのです。この件によってラカンはついに筆を執りました。
実際のところ,これが剽窃と言えるのかどうかはギリギリのところです。具体的な見解の相違点もありますし,見ようによってはリクールのような優れた哲学者であるからこそ,ゼミで聞いたことをしっかりと自分の血肉にできたのだとも言えるでしょう。
産業図書 (1991/01)
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濃い。私には読むのが何となくつらいんです。まあ,こればかりは好きずきですけどね。でも,何で高橋哲哉さんがこれを訳しているんだろう。
金剛出版 (1989/02)
在庫切れ
ダイ・ハード・ラカニアン
この著者は独自のこだわりをもち,あえて定訳になっていない訳語を一貫して使っています。正直なところ,そのために読みやすくはないです。解説書ではあっても入門書とは言えないでしょう。記号論理なども出てきます。
弘文堂 (1995/05)
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平凡社 (1996/09)
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この著者は『失語論』や『シュレーバー回想録』の解題を書いている人ですが,かなり丹念な仕事をする研究者のようで,この本は結構な力作だと思います。ニーチェやハイデガーとのからみが描き出されています。入門書ではないでしょう。
新潮社 (1998/10)
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コンスタティブな哲学
知的詐欺の様々なる意匠
とってもいい
話題の本(挙げるのが遅いけど)。読んでおいたほうがいいでしょうね。むちゃくちゃ単純に言えば,この本は象徴システム自体に対する批判になっている(「否定神学システム」)のだろうと思います。これに対する私自身の意見はやや否定的ですが,詳しくは別のところで論じるべきでしょう。
●科学哲学系
産業図書 (1996/06)
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「あの」グリュンバウムです。
白揚社 (1991/05)
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この本も変わってますよね。
国文社 (1997/03)
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フランスのウィトゲンシュタイン
岩波書店 (2000/05)
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「知」という名の屁理屈
強い本
まっとうな批判
すみません。これをすっかり忘れてました(=抑圧してました)。余計なことを言って某氏とか某氏に噛まれたくないし……。ラカンのところと結論のところしか読んでませんが,ご苦労様な本です。お勉強はすごくしているようですけど,意味を取ろうとして読んでいないのだから,何であれ「意味不明」と思えて至極当たり前だと思いますが。要するに,サルでもわかるようにもっとわかりやすく言えという話でしょう。
と言うとつまらないですが,ともあれこれも一応読んでおきましょう。お勉強はやっぱり大事ということで。付録Aの「ソーシャル・テクスト論文」は,著者の意図とはまったく無関係に,けっこう面白い論文だったりします。これは載せるだろうなあ査読者。細部はともかく,だいたいつじつまは合ってますから。結論のメッセージ性は弱いし,私自身の立場とも違ってますけど。そもそもラカンをポストモダニストとはあまり言わんと思うし。
近代文芸社 (1993/11)
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在庫切れ
はっきり言って異様な本ですが,好きですねえこういう本。私自身も量子力学における観測問題の解釈について結構ハマっていた時期があったので,問題意識を共有することができました。量子力学では主観と客観の境界が曖昧になりますが,ラカンでもシニフィアン(記号表現)とシニフィエ(記号内容)の関係がきわめて錯綜してくるのです。「実在」とは何なのか,とかね。
科学技術論とラカン理論を絡めて独創的な議論をしているのが,ドイツのフリードリッヒ・キットラーです。
産業図書 (1998/05)
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筑摩書房 (1999/04)
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本人の専門分野は「美学」ということですが,幅が広いというか,なかなかの論客ですね。『グラモフォン~』の方が主著の一つで重要と見なされていますが,コンピューターとラカンのからみでは『ドラキュラ~』の方が「濃い」かも。「象徴的なものの世界――マシンの世界」とか。
ただ93年の本で,80486がハイエンドだなんて書いてあると,まあコンピューターの世界は日進月歩なので,うーん,しょうがないなと思ったりもします。さらに主著の方は86年ですから,Z80のアーキテクチャーなんかが図解されてたり。ところで,タイプライターのついぞ存在しないわが国の書字事情についてはどう分析してくれるんでしょうね。日本もこれからIT革命でガタピシくるはずですが。
青土社 (2000/09)
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ラカンと数学の関係などに触れているのであえてここに分類しましょう。ジャン=トゥサン・ドゥサンティからの影響,フレーゲ数学基礎論との関係,チャーチ(=チューリング)の提唱との絡み,そんなあたりのことにチラッと触れています。しかしこの著者は精神分析の数学化をそのまま精神分析の弱体化と考えている様子で(つまり数学にこだわる後期ラカンに批判的,そしてその意味で東浩紀に似た立場),そこがちょっと私とは見解を異にしますが。
単行本ではないですが,我田引水ながら私の見解として
日本評論社 (2004/07)
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に入っている中野昌宏「生成の論理としてのフェティシズム――無意識の論理を形式化する試み」を挙げさせていただきます。この本のタイトルでは「ラカン」と「精神分析」で検索してもきっと見つからないでしょうから。我ながら変な論文なんですが,今後の活路はこっちの方向ではないかと思ってます。
●生物学系
どうぶつ社 (1987/04)
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青土社 (1993/06)
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『不思議なダンス』(原題:ミステリー・ダンス)のほうは,生物学の挙げてきた成果をどう解釈するかというところでフロイト・ラカン理論を使っていて,人文・社会系の人間には読みやすいはずです。同じ2人の『性の起源――遺伝子と共生ゲームの30億年』(青土社)もありますが,こちらは完全に生物学の本なので,ここに挙げるのはちょっと場違いかと。
なお,リン・マーグリスとドリオン・セーガンの組み合わせは,昔日本でも『コスモス』というサイエンス・ドキュメンタリー(テレビ番組)などに出ていた,あのカール・セーガンの元・妻と息子です。そういう母と息子が「進化論的ストリップショー」とか言っているのは,フロイトのシンパだけに,やっぱり近親相姦なんでしょうか。そこがちょっと気持ち悪いです(ごめんなさい)。
青土社 (1999/07)
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面白い!
これ,おすすめです。ちょっと主張とか論拠とかが弱い気もしますが,はっきり言ってこれを「ラカン入門」として推薦してよいという気さえします(爆弾発言)。私としては,ラカンの考えは要するにこういう感じのことだろうと思うのです。ラカンその人の名前は第1章にわずかに出てきます。
ラカンとホフマイヤーの接点は何かと思ったらあのアンソニー・ワイルデン(ラカンのいわゆる「ローマ講演」の英訳者)でした。なるほど。ただしこの訳書には「ウィルデン」という表記で出てきます。ついでに言うと上に挙げたマーグリスとセーガンは「マーギュリスとサガン」として出てきます。しかもタルスキは「タルツキィ」になってるし。といったように人名などでちょっと混乱を招くかもですが,全体としては読みやすい平易な本です(自信なし)。ラカンの「象徴界」はホフマイヤーの「記号圏」に対応し,その「記号」概念はC・S・パースに由来します。ああ,このへんも研究せねばなあ。三項関係というのはすこし安易なオチのような気もするけれど。ちなみに2じゃなくて3が大事だというのはラカンもズバリ言っていることなんですよ。
新曜社 (2000/01)
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マトゥラーナ,ヴァレラ,ルーマンから引き継いだオートポイエーシス概念を看板に,一般システム論を構想する著者の最新の視点。この中の「存在の裂け目II――インテルメッツオ2」というエッセイがラカンに関するものです。また同じ著者の
青土社 (2000/04)
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の特に第2章も,ラカンの話といっていいような議論です。この議論は後に挙げる斎藤環さんの議論と関連があるようです。というか,なぜラカンとオートポイエーシスが関係あるかと言えば,要するにサイバネティクスの影響なんですね。ラカンはけっこうサイバネティクスを意識しています。私などには,ベイトソンあたりを読むと,その議論はほとんどラカンに重なるように思えます。そこでベイトソンの本も,とりあえずインパクトのある2冊だけ。
新思索社 (2000/02)
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認識能力が実際に身につく本
新思策社 (2001/02)
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学問の土台をすげかえる
最後の主著
●社会学系(主にフェミニズム関係?)
- ミッチェル,J. 1977[1974]
『精神分析と女の解放』,上田昊訳,合同出版.
「女の解放」って……,これは「フェミニズム」のことです(笑)。訳されたのが昔だからしょうがないですね。
岩波書店 (2000/07)
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一見トリッキィだが、ツボを得た『エクリ』読解
晶文社 (1993/02)
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青土社 (1996/05)
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青土社 (1998/06)
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河出書房新社 (2004/07/21)
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ちなみに「Joan」という名前を「ジョアン」と表記するのはお願いですからやめてください。辞書を引いて発音記号を確認してください,「ジョーン」が正解です。経済学関係者だとみんなジョーン・ロビンソンの名前を知っているので間違えませんが。そしてボサノヴァ好きの私にとって「ジョアン」は男の名前です――ジョアン・ジルベルト。そちらは「João」(aの上にチルダ)と綴ります。
単行本ではありませんが,社会学の重鎮・作田啓一先生が同人誌を出されています。
だいたいラカン理論に関する文章で構成されているようです。入手はBC出版ホームページまたはメールで受け付けているとのことです。
- 樫村 愛子 1998 『ラカン派社会学入門』,世織書房.
ついに「ラカン派社会学」の名を冠した書物が現れました。基本的には著者のこれまでの論文を集めた本なので,「入門」とはいうものの入門的ではありませんが,そんなことはわかっていてこのタイトルをつけたに違いありません。ラカン理論の見地に立ち,自己啓発セミナーから源氏物語にいたるまで分析します。
世織書房 (2003/06)
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世の中のトレンドかな。
も出ました。私個人は第1章「言語の成立に関わる『否定』の作用と他者について」がとくに気になるトピックです。っていちばん社会学的でない章かな。
多賀出版 (2002/01)
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上の樫村さんたちと私が一緒に訳したものです。私自身は,(性差を消そうとする)フェミニズムと(性差を前提とする)精神分析というのは基本的に水と油だと思っているので,フェミニストの中にも精神分析の好きな人がいるのは不思議なのですが。それはともかく,書いている人はフェミニズムの文脈ではそれぞれ重要な人のようですので,そうした人々の精神分析に対する評価・立場を知るのによいでしょう。逆に精神分析を知ろうと思ってこの本を読むと踏み外します。そこを間違わないようにお願いします。
明石書店 (2004/07)
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こちらはよりトータルに精神分析理論の社会学理論への寄与可能性を論じた本で,ラカン派社会学入門としてうまくまとまっていると思います。フロイトの「科学的心理学草稿」みたいなややこしい論文や,大澤真幸理論など明らかにラカンに関連している社会学理論についてもきちんと論じていますし,上の樫村さんの本はとても難解なのに対して,こちらは比較的平易な文体で書かれています。おすすめです。
●文芸批評系・美学系
まず赤間さんの本から。
青土社 (1995/07)
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- カワード,R. およびエリス,J. 1983[1977]
『記号論と主体の思想――バルト・ラカン・デリダ・クリステヴァなど』,磯谷孝訳,誠信書房.
誠信書房 (1985/09)
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次は言わずと知れたポストモダン親分です。単行本ではないですが,もろに論じている(第3章)のであえてエントリー。
のちに生まれる者へ―ポストモダニズム批判への途 1971‐1986
紀伊国屋書店 (1993/05)
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次は「リュブリアナの巨人」ことスラヴォイ・ジジェクのシリーズです。
河出書房新社 (2001/01)
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メタ言語の罠
筑摩書房 (2006/01/12)
青土社 (1997/10)
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河出書房新社 (2004/09/18)
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とにかく多産なジジェクですが,以上あたりが理論的に重要でおすすめなところ。『イデオロギー~』は骨格となる主著。『否定的~』はドイツ観念論との関連。『仮想化しきれない残余』には,「ラカンと量子物理学」というアヤシイのも入っていて,私には魅力です。『身体なき器官』はご存じドゥルーズ論。「器官なき身体」をひっくり返すあたり,まさにマルクスの息子という感じで個人的にスキです。
青土社 (2002/04)
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こいつはジュディス・バトラー,エルネスト・ラクラウらちょっと近いような遠いような盟友のような論敵のような思想家と書簡ふうのやりとりで,ジジェクの立場がほかとの比較でわかりやすいと思いました。
政治的・時事的なのもあります。特に以下の2冊。
青土社 (2003/03)
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率直なシリアスさ
率直なシリアスさ
河出書房新社 (2004/05/21)
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大文字の<行為>、あるいは「ユートピア」への呼びかけ
ジジェクの邦訳文献については,ふったさんがまとめられていますのでご参照ください。しかしジジェク,まだまだ増殖中です。
98年に出た
青土社 (2001/02)
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何がなんだかさっぱりわかりませんでした。
まだ半分しか読んでないけど、タダ者ではない。
文句なし。立派
は,なかなか面白いですね。精神科医であるこの著者のライトモチーフは,修業時代に目の当たりにした,先輩医師らの
“Shot Diagnosis"
(一発診断?)への夢にあるとか。「一発診断」とは,患者の顔を一目見ただけで「あれはオルガニッケルだね」などと診断を下す,医師の一種の名人芸のことです。要するにそこでは,「顔」によって何か名状しがたいものが伝達されているわけです。これって何だろう,という。すでに面白そうでしょ? これで素材が漫画ときていますからなおさらです。花村誠一氏や上に挙げた河本英夫氏らのオートポイエーシスの着想にかなりの影響を受けているように見えます。
以下美学系。っていうのかな。
研究社出版 (1996/11)
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「美人」を精神分析理論で読む
青土社 (1999/09)
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人文書院 (1999/11)
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2003年のおすすめは,あの中沢新一氏です。私も彼の書き物を久しく読んでいなかったのですが,最近の中沢氏はずいぶんラカンの影響を受けているように見えます。
講談社 (2003/01)
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資本主義の夢
考え方やものの見方は参考になるが・・
愛は見返りを求めてはいけないの
これなんか,タイトルからして愛(贈与=想像界)+経済(交換=象徴界)+α,みたいな感じで。ちなみに現実界に対応するものとして「純粋贈与」を挙げる解釈がおもしろいですね。続編の第5巻,
講談社 (2004/02/11)
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中沢版「最後の仏教」の始まりの終わり
刺激的!です
ぶっとぶ
では,チリ出身・イギリスで活躍・イタリアに骨を埋めた精神分析医マッテ・ブランコの「無意識の論理」についての研究が活かされてます。それについて現在手にとれる邦訳は,
新曜社 (2004/11)
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です。ここは本当に興味深いところ。
あと経済に関連すると,イスラームの経済観とのからみで
集英社 (2002/05)
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資本主義を超えるという話
考えるヒント、、になる1冊です。
目からウロコのイスラーム論
も,基本的には同じ思考に基づいていると思います。イスラームの教義,特に偶像否定という教義は,シニフィアンが一人歩きしていくのを禁じる仕儀なんであって,したがってイスラームは原理的に資本主義とは相容れないという点,私も思っていましたが先に書かれてしまいました。くやしいので宣伝すると,そういうことを書いた私の論文は
に入っています。それの結論は何か伝統的マルクス主義っぽくて,中沢氏より悲観的です。
●雑誌特集号
最後に,完全ではないと断言できますが,関係しそうな雑誌特集号をできるだけ挙げてみます。
- 1973.7,「マルクーゼ/ラカン/レイン」,『現代思想』.
- 1977.臨時増刊,「フロイト」,『現代思想』.
- 1977.8. 「特集 J・ラカン」,『エピステーメー』.
- 1981.臨時増刊,「ラカン」,『現代思想』.
- 1987?. Summer?,「無意識の文化学――ジクムント・フロイト」.『iichico』,No.1.
- 1988.Winter,「鏡像の文化学――ラカン・子ども・絵画」.『iichico』,No.6.
- 1994.2,臨時増刊,「ラカン以後」(責任編集=赤間啓之),『imago』,vol.5-3.
- 1994.春,「フロイトとの再会」(責任編集=小此木啓吾・妙木浩之),『Az[アズ]』,31号,新人物往来社.
- 1994.10,臨時増刊,「ラカン――精神分析の最前線」(責任編集=藤田博史),
『imago』,vol.5-12. - 1996.2,臨時増刊,「フロイトと精神分析の現在」(責任編集=小此木啓吾),
『imago』,vol.7-3. - 2006.6,「ラカン――人間存在の仕組み」『大航海』,No. 59.
上の?の箇所やこれ以外については,情報をくださいとお願いするしかありません(泣)。ぜひお願いいたします。
新着未整理分リスト (ページ先頭へ戻る)
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ミネルヴァ書房 (1998/06)
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誠信書房 (1990/09)
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言叢社 (1999/10)
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現代書館 (1997/11)
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初心者むきだけど初心者にはぜったいワカラン
いやはやなんとも
最低限知っておくべきこと
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入門書?
ラカンが見落とした「情動的同一化」
せりか書房 (2001/11)
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河出書房新社 (2003/02)
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岩波書店
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一歩前に出る
これからの精神分析が目指すべき方向
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タイトルどおり
面白いほどよくわかるフロイトの精神分析―思想界の巨人が遺した20世紀最大の「難解な理論」がスラスラ頭に入る
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バジリコ
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切り札登場
ラカン超入門
ラカンの入門書の入門書の入門書
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