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子どもの誕生パーティー

最近更新できていないので,順当に近況報告など。そんな義務ないはずだけど。まいいか。

153215s.jpg3月19日(土)というのが息子の誕生パーティーで,これを中心にたいへん忙しかった。本当は誕生日そのものは上旬だったのだが,私が不在では開催不可能なので(理由はあとでわかります),あえてずらしたのである。

日本でもそういうパーティーはあるが,フランスのほうが明らかに盛大で,しかもわれわれはビジターなのでホストとして周囲の皆さんに気を遣うことになる。結論から言えば,息子にとっても,そしてわれわれ親たちにとってもたいへん貴重な一日となった。でも毎年じゃあきついよこれはね。


▼企画段階から,われわれは悶々としていた。いったいどうすりゃいいんだ。基本的には日本と同じで,ちょっとしたプレゼントを招待された子がもってくるといったことだが。

まず日時を確定する。ここで重要なのは,子どもにとって最も重要な友達が来れる日に設定することである。うちの子の場合,ヤンという子が親友=最重要人物とのことだったので,この子にまず打診する。これで19日という日程が決まった。

開催時間をどうするかも問題だが,誕生パーティーをアドバイスしてくれるサイト(例えばここ)によれば幼稚園の子で2時間,小学生で3時間とあった。長くしても意味ないという。それはそうであろう。うちは小学校1年生(フランスではCP=Cours Préparatoireという)なので悩ましいところだが,ともかく3時間に決定。

次に招待状を作らねばならない。私は2月末の帰国前に文面を作り,妻に託しておいた。これを息子の呼びたい友達全員に,10日前くらい,すなわち9日前後に届くように手配しなければならない。幼稚園で一緒だった一のガールフレンドにだけは郵送で,今の学校のクラスメイトたちには手渡しで対応する。

▼さて,問題はフェットの内容だ。こちら側が招待されたことはそれまで3度あった。それぞれ違った趣向だったが,そのうち特に2回までは「へぇ~,そんなことするんだ」的な驚きがあった。まずそれを紹介しながら。

1番目のパターン。これはパリでは割とフツーなパターンである。まず誕生日の子の家に,仮装して集合。ケーキとおやつを食べ,自由に遊んだあと,プロのエンタテイナーが来て手品のショーとバルーンアートを披露。最後にちょっとしたお土産(お菓子や小さなおもちゃなど。特に今回はバルーンアートの作品)をもらって帰る。

2番目のパターン。これはちょっと驚いたが,なるほどという感じである。プロを呼ぶくらいなら,子どもの人数も多いしむしろ場所を変えちゃえという発想で,まず誕生日の子の家に集合するが,そこから両親に引率されてぞろぞろと移動する。このときは「ジャックマール=アンドレ美術館」(昔の銀行家の邸宅とコレクションを公開している私設美術館らしい)へ行ったようだ。そこのカフェで,お話を聞いたりお絵描きをしたり,つまりはそういうプログラムを美術館側で用意しているらしい。最後にお土産は自分が描いたデッサンと,フランス歴代の著名な王(フランソワ1世とかアンリ4世とかルイ14世とか)の肖像画がついた「ものさし」だった。

あと,パリでは子どもが一人で街を歩くことはよくなくて,子どもがどこかに行くときには基本的に大人に送迎義務があることになっている。毎日の学校もそうだが,誕生会でもやはりそうで,開始時刻と終了時刻に親が送り迎えしなければならない。逆に言えばその際に親同士が顔をあわせ,世間話などをするチャンスがある。たいていは親も「どうぞどうぞ入って」とか言われるので,すすめられるままに「そうすか? じゃあ」なんて入ると,「シャンパンはいかが?」とくる。「あ,じゃあ,すいません」とかいいつつもらっちゃって,ほろ酔い気分かつ子どもたちそっちのけで親同士ダラダラやっていることも多い。私なども早く皆さんに溶け込みたいので,誘われたら必ずお邪魔するようにしている。

ただパリの住宅事情からして,広いアパルトマンに住むというのはなかなかきついはずだ。子どもが10人とか来るというだけでもたいへんなのに(そりゃ誕生日の当人はできるだけたくさん友達を呼びたいからすぐ10人以上になってしまう),プラス大人も10人来るということで,そんな人たちを全部家に入れるわけにはいかない。もちろん子どもを送り届けてさっさと退散する人もいるから,そんなにたいへんなことにはならないにしても,仮住まいの我が家ではとても無理な話であった。

会場を借りてまで場所を変えるというのにはそういう意味があるわけだ。美術館でなくても,例えばマクドナルドでするというパターンも多いようだ。というわけで,うちでも当初はそれを考えたが,やはりできるだけ安く済ませたい。マクドナルドは嫌いだし,会場費とかエンタテイナー外注は避けたい。となると,何とか自前で余興を演出しなければならないということになる。そこで冒頭の「悶々」というところに話が戻ってくるのである。

▼われわれは日本人なので,できるだけ日本のものを前面に演出するようにした。そのために,ちょうど一足先に帰国していた私は日本でパーティーグッズ買いに奔走することとなった。とりあえずわれわれが最初に思いついたのはビンゴゲームで,それ自体は日本のゲームではないけれど,賞品に日本の鉛筆とか消しゴムとかを用意した。もちろん柄は「ポケモン」「遊戯王」「キティちゃん」「ハム太郎」など,こちらでよく知られているキャラクターのものである。しょうもないと思われるかもしれないが,日本の文房具はこちらのものに比べてとても質がよいのだ。セロテープでもホッチキスでも輪ゴムですら日本のものはすばらしい。ほとんど中国製だが。ともかく文房具を安価で輸入するには手荷物しかない,ということで,そういうものを百均ショップでしこたま買い込んだのであった。なお百均になぜか手品グッズも売られていたのでそれもゲット。結果的にはこれは活用されなかった。

もう一つ,H田さんの奥様(Y子さん)に教わったすばらしいアイディアは,「ふくわらい」であった。これは文句なく日本のゲームであり,小学1年生にはちょうどよいエンタテインメントである。われわれはBHV(パリ市庁舎のとなりにある,日曜大工用品から家電まで売っている総合デパート?)で肌色の大きめの画用紙を購入し,顔を4面作った。洋風王様,洋風お姫様,侍,お多福の洋顔2面和顔2面である。実際これはたいへんよかった。

そして,ケーキはどうするか。ときどき報道されているように,日本以外には「もったいない」という語彙がない。フランスもまた,「もったいない」精神とは無縁の社会である。「もったいないお化け」など,誰も知らないのである。子どもでも大人でも,満腹になれば平然と残す。大量に残して悪びれるところがない。もともとモノに耐久性がないのも一因だが,何だかすぐモノを捨てているし,捨てることができる制度になっているようだ。大型ゴミなんて道に出しておくだけでいいのだから。資源ゴミは一応分別しているが,リサイクルされている様子はない。話がそれたが,要するに子どもたちは遠慮なく残しまくるので,われわれの感覚では高価で立派なケーキなど「もったいない」の一言である。というわけで,妻はあっさり自作への道を邁進したのだった。

あと,仮装ありとした。息子自身が仮装したがっていたことが大きいが,やはりみんなでヘンな格好をして遊ぶというだけで楽しいものである。カーニバルである。フェスティバルである。ヤンヤン歌うスタジオである。それに,子どもたちが集まるときはいっせいに来るわけではなく,パラパラと順番に来るのだから,呼び鈴がなるたびに子どもたちはキャアキャア言って玄関口に集まるのだ。次に来た子が誰で,どんな格好をしているか早く見たいからである。これだけで一つのパーティー要素になるのはオイシイ。

あと日本人の家ということで問題になるのは,「靴」の問題である。こちらが行くときには土足で入れてラクなのだが,逆の場合には客に靴を脱がせることになるのでちょっと気が引けてしまう。かといって今までキレイに住んできた家で(というより自分たちで這いつくばってさんざん雑巾がけをして,やっと靴を脱いで生活できるようにした我が家で)大人数の子どもたちが土足で暴れ回るのはちょっと我慢ができない。ここは「靴は脱いでね」という貼り紙を作り,愛想のために息子にイラストを入れさせた。まあこれでオッケーとしよう。

▼その結果,われわれの企画はこうなった。

  1. 出迎え
  2. 自由行動(というか収拾つかず)
  3. ふくわらい
  4. ケーキとおやつ
  5. ビンゴゲーム(賞品つき)

Y子さんとそのお友達が急遽応援に駆けつけてくださったおかげで,ふくわらいをはじめとしたゲームは盛り上がりを見せ,子どもたちも大興奮。実はY子さんは小学校教員の経歴をお持ちであった。まさにプロの話芸(?)である。やっぱこれはギャラを払う必要があるのではないだろうか。彼女のフランス語での子どもの扱いはまことにすばらしかった。ビンゴゲームでは私がナンバーをコールしたが(60以上の数字には若干時間がかかるがそういうものである),子どもたちがエキサイトしてきて収拾がつきにくくなってきた際にも,やはり助けていただいた。おかげですべてがうまくいった。記して謝したい。3時間という時間設定もピッタリだった。

親たちにシャンパンを用意するつもりはなかったが,何もないよ,じゃあね,バイビ~!というのではあまりにアレだと思われ,妻がプチおにぎりと日本茶を用意し,送り時に時間のある方に振る舞った。迎え時には日本の風景の絵はがきを,好きなの選んでください,と差し出した。これまたしょうもないと思われるだろうが,例えば相手が京都の絵はがきを選んだら,「これは京都の写真ですね」「あらそうなの」「トモヒロは京都で生まれたんですよ」「あら,京都に住んでらしたの?」「ええ,10年以上」「でパリには?」「やっと1年になります」……という具合に会話のタネになるのである。まさにそういう作戦は当たりであった。まあ我が家の玄関付近はてんやわんやで,全員とそういう会話ができたわけではないが,梅田の紀伊国屋で1枚83円の代物。こんなもんで皆さんとお近づきになれるなら安いものである。

▼そういうわけで,息子の盛大な(と思われた)パーティーは幕を閉じた。彼は10人の友達を呼んだということは10個のプレゼントをいただいたわけで,まあ10個の新しいおもちゃが一度に手に入ったことなど今までなかったわけであるし,とにかく彼にとっては本当に信じられない,幸せな一日であったようだ。もちろん私にとっても,この日のことは,研究云々とはまったく違った次元で,フランス生活で得た貴重な経験となった。もし来年もやれと言われるとやっぱりちょっと憂鬱にはなるのであるが。

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